アマチュア― アマチュアーとは、通常の意味では純粋にスポーツを愛好する人をいい、生活の資をスポーツに求めるプロフェショナルに対した用語である。各スポーツ種目は別途にアマチュアー規定を持ち、アマチュアー資格の審査判定を行っているが、猟犬界には特別な規定は制定されていない。オリンピック種目ではアマチュアー規定は比較的厳格であるが、他のスポーツ種目では広義に解釈する場合も多く、今はアマチュアー資格を広大しようとする傾向が全般的である。 我が国の猟犬界の現状は、常識的にプロとアマとを区別しているが、その限界は極めて不明確である。 アメリカのトライアルには明確な規定があり、大略すれば「生活の資を猟犬のトレーニング、ハンドリングによって得ているもの、その家族及びその使用人はプロフェショナルである」としていて、そこに含まれない個人は、すべてアマチュアーであるとしている。従って猟犬の売買を行う事もあるブリーダー(作出家)やオーナー(所有者)もアマチュアーであるとしている。 我が国に於いては、国情、人情の差もあってアメリカの規定をそのまま受け入れることには抵抗を感ずるむきもあるが、トライアルが益々盛んになるにつれて、なんらかの規定を制定する必要が生じてくるであろう。 |
アンプロダクティブ・ポイント ポイントはしたけれどもゲームに直結しなかったときのポイントをアンプロダクティブ・ポイント、又は単にアンプロダクティブという。 アメリカのトライアルにおける用語であって、狙われたゲームを追い出す事がハンドラーの任務である場合は、アンプロダクティブは明確に定義づける事ができよう。即ち兎を狙ったり鳥の砂あびの跡を狙った時などは、フォールス・ポイント(FalsePoint)と言い、ゲームに這われたりして、ハンドラーがポイントしたと思われるゲームを出すことができなかった時などは、アンプロダクティブと区別される。 我が国のように、ポイントした犬にゲームを出させる場合は、アンプロダクティブもフォールス・ポイントも共に「空(から)ポイント」として処理されて来た。アメリカ流のトライアル観が一般に浸透するにつれて、同じ空ポイントではあっても、明らかに陸鳥類以外のゲーム或は立ち跡などをポイントしたときは大きな欠陥とするが、狡猾な雉などにはわれたことが明らかであり、且つ周囲の状況から致し方なかったと認められる場合は、多少の考慮の余地があるものとして、単にポイントとせず、アンプロダクティブをして救済の道を残すように考えられつつある。 しかしアンプロダクティブ・ポイントは良きバード・ワークでないことは明らかであり、またブリンキングを混同してはならない。一度ポイントし逸走したゲームを二度或は三度追走し、ポイントしなおし、ゲームを出した時は連続したバード・ワークと考え初めの数回のポイントを「空ポイント」又は「アンプロダクティブ」とは考えないのが通例である。 |
インテリジェンス 智力・智性などと云われる。猟犬の持つ猟能の内で最も重要なもので、凡ゆる犬の行動は智力に支配されているものとされる。いわゆる「あたまが良い犬」とか「あたまを使っている」とかと表現される。猟犬の猟技を三大別した場合、インテリジェンスはグラウンド・ワークに含まれ、グラウンド・ワークの他の要素、即ちスピード、レンジ、スタミナはインテリジェンスによって適度に統制され、猟野に適応した捜索が行われ、グラウンド・ワークが完成されるものとする。 |
ウイン、ウイナー 勝利者又は優勝者〔犬〕のこと。狭義にはチャンピオンシップを獲得した犬をウインナーという。ベンチ用語として用いる場合には、犬種別 にウインナーが出たり、綜合のウインナーが出たりして、1回の品評会で何頭かのウインナーが発表されるが、1回のチャンピオンシップ・トライアルでは、ウインナーは1頭である。動詞としてウインを使い、ただ勝ったとか、優勝した意味で使うこともあり、又チャンピオンシップ以外のトライアルで入賞したことをウインということもある。例えば、ウインいくつと表現して賞暦を意味する場合がある。 |
ウォーキング Walking 〔狩猟用語〕 英国に於て使われる言葉で、歩いて猟をすることを云う。我が国の猟はこれにあたる。 英国に於てはウォーキングに対しドライビングという言葉があり共に狩猟の方法の表現である。 米国に於ては通常はウォーキングのかわりにオン・フットという。 ウォーキングのオーバー・ドッグ・シューティング(犬ごしの射撃)が、英国流で表現した我が国に於ける通常の狩猟方法である。 |
英ポ〔犬種〕 英ポインターまたはイングリッシュ・ポインターと同意で略語である。鳥猟犬の代表的犬種であって愛好者が多い。18世紀初めに英国に輸入されたオールド・スパニッシュ・ポインター(スペイン原産)を原種として改良固定されたものが現在の英ポといわれる。 |
英セ〔犬種〕 英セター、イングリッシュ・セターと同意。英ポとならぶ鳥猟犬で愛好者も多い。スペイン原産のセッティング・スパニエルがその原種と言われる。セターの名はゲームを前にして座り込む性質、即ちにセットすることから発したものという説と、昔、狩猟に用いられた時にゲームを捕獲する準備を完了せる意味、即ちお膳立をするという意味を持つセットという語が語源であるという説がある。現在のセターでセットするものは少なく、立ったままでポイントする。 |
エントリー トライアルに出走を申し込むこと。申込料のことをエントリー・フィーという。我が国では申込料を添えて申込めば出走できるが米国の大規模のトライアルでは、申込と出走とを別にしている場合が多い。この場合の出走料はスターティング・フィー(Staring Fee)という。 |
オール・エイジ・ステークス 前年令部門、年齢不問部門と訳されるが、最近はそのままオール・エイジ又はオール・エイジ・ステークと呼ばれる場合が多い。 アメリカのトライアルに於ける常用語で我が国でも三部門制のトライアルの場合に用いられ、全猟の成犬部門はとは多少異なっている。全猟の成犬部門は2年6ヶ月以上※の犬のみの出走が許されるが、オール・エイジ・ステークでは出走犬の年齢を問わない。 2年6ヶ月以下の犬の出走も差し支えないものとされているが、出走犬の猟技は完成犬として審査されるために優れた猟能を持っていても、充分に訓練され猟技の完成されていない犬は不利であるので、事実上は2年6ヶ月以上の犬が出走することを通例とする。3部門制のトライアルではそれぞれの部門にいける審査基準が犬の成長過程に従って決定されているため、オール・エイジ・ステークの審査基準とパピー、或はダービー・ステークの審査基準は別個に規定されている場合が多い。近年、我が国においてもアメリカと同じように3部門制のトライアルが開催されるので、この語も一般化しつつある。 ※現在は3年以上(3才以上) |
オブジェクティブ コース上のゲームが存在すると思われる場所のことをいう。コース上のオブジェクティブを落とした捜索は、良い捜索ではないし、良いパターンともならない。 |
オーナリング バック又はバッキングと同意義である。相手犬のポイントを賞賛するという良き作法を表す言葉としては、この語の方が適当であるけれども我が国にでは殆んど使われない。 |
オープンステークス アマチュアー・ステークに対する語。オープンとは参加犬のハ ンドラーの資格に制限のないことである。従ってオープン・ステークにはプロもアマも参加できるが、現実にはオープン・ステークへの参加は少ないといっても良い。また米国におけるトライアルでの区別であって、現在の我が国のトライアルでは、オープンとかアマチュアーとか明確にうたっているトライアルはないが、トライアルの進展によっては米国のようになる場合も考えられる。 日本でオープンという場合は、メンバーシップ・トライアルに対する語で、出場資格を制限しない意味で使われることが多い。 |
オーバー・ハンドリング 競技中に過度に犬を操縦することであって、好ましいことではない。オーバー・ハンドリングの結果は、犬が畏縮したり自主性を失って行動に快活さがなくなる。 |
オーバー・トレーニング オーバー・ハンドリングと同じようなことであるが、過度に訓練を行うことを差す。オーバー・トレーニングの結果、犬は精神的には自主性を失い、常にトレーナーの指示にのみ従って動くようになり、肉体的には疲労の累積から行動は不活発になり、レンジやスピードを失う等、いろいろな弊害が現 れて来る。 |
ア~オ | カ~コ | サ~ソ | タ~ト | ナ、ハ~ホ | マ~メ、セ、ラ~ロ、ワ |