空(から)ポイント ゲームを生産し得なかったポイントの総称。内容的にはいろいろな場合があって、特にトライアルのときは許容されるものと、そうではないものとがあり、その判定は極めてむずかしい。純然たる空ポイントはゲームの立ち跡にポイントしたときであるが、アンプロダクティブ・ポイントと混同し易い。しかし、空ポイントは好ましき猟技でないことは確かであり、嗅覚力の不足や決断力に欠けていることから起こるものである。 「フォールス・ポイント」「ポイントマンプロダクティブ・ポイント」は認定の項参照。 |
カット・バック 現在進んでいる方向への捜索をやめ、同じコースを通ってハンドラーの方へもどって来ること。帰路は全く無駄な動きであり捜索の意味がなくなる。能率良き捜索は不可能になるので好ましき猟技ではない。オーバー・トレーニングや誤ったトレーニングと自主性にかける犬にほどこした場合に起こる。ゲームの所在が確かめられずに、犬が同じ所をいきつもどりつ捜す場合をカット・バックということもあるが、このような場合はポタリングであって、カット・バックではないことに注意を要する。 |
ガンシャイ〔狩猟用語〕 恐銃癖のこと。発砲音をおそれ猟欲を失ったり甚だしい場合には逸走したりする。 猟犬は適切な訓練過程を経たならばガンシャイになることはないが、個々の犬の性質によってガンシャイになりやすい犬とそうでない犬とがあるので、一様な銃声馴致訓練では不充分である。神経質な猟欲が充分発現していない犬に、いきなり発砲音を聞かせることは極めて危険であって、慎重な計画が必要である。単声の発砲音、特にトレーナーが発する音に驚かない犬であっても、連続音、特に訓練者以外のものが不意に発する連続音のためガンシャイになる場合もあるので、猟欲が完全に発現し訓練者の発する連続音に驚かないようになるまで注意を必要とする。 一度強度のガンシャイになった犬の矯正は極めて困難で、場合によっては不可能に近い。 矯正方法としてはいろいろ試みられているが、最も一般的であり 且つ確率の高い方法は給食時の発砲によるものとされる。即ち、犬が逸走しないように犬舎等で食事を与えている時に発砲し、もし逃げて食べないようであるならば食事をとりあげて空腹を覚えさせ、再び食事を与えて発砲することをくり返す。空腹が恐怖を圧倒し、発砲音が危害を与えるものでないことを根気よく実施することで教え込ませて恐銃癖の矯正に成功した例は多いが、適正な銃声馴致によって恐銃癖におちいらないようにすることが心得の第一である。 銃 声馴致には、仔犬の時から音にならす方法と、完全に猟欲が発現しゲームを追うようになってから音を聞かせる方法とがあるが、犬の性格によって異なるとはいえ、仔犬からの馴致が一般的であり、且つ安全度が高い。 |
ガン・ドッグ、ガン・ドッグ・トライアル 銃猟犬のことで、鳥猟に用いる猟犬一般を指す。従ってポインティング・ドックのみならず、レトリバー・スパニエル等も含む、かなり広い範囲の銃猟犬を意味する語である。 ガン・ドック・トライアルは実猟に近い審査基準で行われるトライアルで、シューティング・ドック、オール・エイジ・トライアルよりは狭いレンジ、遅いスピードを要求することが多い。 |
カバー・ドッグ カバーとは草林、森林、密林を指す。従ってカバー・ドックは、そのような猟野で使用されることを主目的として、作出され訓練される犬をいう。犬種は問わない。 例えば、グラウス猟に使われるポインターやセターはカバー・ドックといわれ、平原用の犬とは異なってレンジ・スピードは猟野に適応するものでなければならず、非常に頭脳的な猟技を要求される。我が国の大多数の猟犬はカバー・ドックの中に含まれるものであろう。 |
キャスト、キャスト・オフ ゲームを求めて捜索し始めること。トライアルでスタートすることをキャスト・オフしたとか、させられたということもある。 |
ギャラリー トライアル用語としてのギャラリーは観衆の意である。トライアルの直接の関係者、役員、審査員、ハンドラーなどを除く、参観者全員を指す場合、ギャラリーという。 |
競技会、競技会犬、競技会系 フィールド・トライアルのことを猟野競技会という。また、トライアルに出走する犬、トライアルに出走すべく作出され訓練されている犬を競技会犬といい、実猟に使う犬と区別している場合がある。 しかし、競技会犬はトライアル犬という特殊な犬種があるわけではなく、トライアル規則や審査基準に合致するような猟能や猟技をもつ犬を作出し易い系統を競技会系という。トライアルを猟犬の改良の場として考えれば、競技会犬、競技会系と実猟犬、実猟系ともに何等の差がないことは古今東西を通じて同一であるが、トライアルでは実猟に比べて犬の自主性を重視するため、気性の激しい犬や、スピードがあってレンジが広いために、狭い地形では実猟には使いにくく、又訓練にも時間がかかるために、このような区別をしているに過ぎない。従って、競技会犬を実猟に使うこともできるし、実猟犬がトライアルに参加し好成績をあげることがあることは当然である。 |
ギャロップ 犬の歩態の一つ。前肢、後肢をそろえて駈ける姿をいう。トライアルの場合には競技時間の大半はギャロップで走ることが良いとされる。スピードの点では犬の走り方としては最も速いけれども、時と場所により走り方を変えることも必要となる。 |
グランド・ワーク 鳥猟犬の猟野に於けるあらゆる行動は、グラウンド・ワーク、トレーニングに大別される。更に、グラウンド・ワークは「インテリジェンス」「スピード」「レンジ〔捜索範囲〕」「スタミナ〔耐久力〕」の四者にて構成されているものとされる。これはアメリカのポルトン博士による定義であるが、我が国でもこれが準用されている。 グラウンド・ワークは捜索の基礎的条件であって、良きグラウンド・ワークは猟野に適合してペースの変化を生み、良きパターンが描かれ、迅速な見落としのないゲームの発見を可能とする。 グラウンド・ワークは、バード・ワーク、バード・ワーク中のポイントと共に最も基本的且つ要求度の高い猟技であって、これに欠点の多い猟犬は高い評価を受けられない。特に、ゲームに恵まれないトライアルに於いては、グラウンド・ワークのみによって順位を決定せざるを得ない場合もあるので、グラウンド・ワークの欠陥は成績に大きな影響を与える。しかし、猟犬の評価は総合的な猟技によって決せられるべきものであることを忘れてはならない。 グラウンド・ワークの構成要素中で、インテリジェンスを除いた他の3要素は実見することができ、実見した上で判定を下すことができるがインテリジェンスのみは実見したものの総合的な類推であって、これの評価は極めてむずかしいことであると共に、慎重な観察の上に立ってこそ可能なものとなる。スピードは能率よき捜索の根本をなすものとされ、レンジは猟欲の表現であり、スタミナはそれ等を持続させるものであるが、これ等の3要素を猟野に適合させ、良きグラウンド・ワークを完成させるものがインテリジェンスである。 |
グッド・マナー 良き作法の意。良き作法を身につけている犬をグッド・マナーの犬という。グッド・マナーは家庭訓練(ヤード訓練)による躾ばかりを指すものではなく、猟技全般が紳士の使う猟犬として恥しくない高度の内容を持つことがグッド・マナーの犬といわれる資格である。その最も端的な良き現われは、バッキングまたはオーナリングであり、悪い現われがスチール・ポイントであろう。 |
群鳥捌(さば)き〔狩猟用語〕 2羽以上の群れ鳥をポイントし、1羽ないし2羽ずつ飛び立たせることで、狩猟家にとっては最も好ましいバード・ワークの一つであるが、トライアルに於いては、特に群鳥捌きについて規定は作られていない。しかし、やはり好ましき猟技といえる。何故ならば、好ましからざる性質である興奮性がないという査証であるからである。 群鳥捌きが行えるためには、ゲームの状態と非常に関係があって、トライアルでは多くのギャラリーの足音、話声のためゲームは飛びたがっている場合が多く、落着いて群鳥捌きが行える状態は極めて稀である。又、果断な飛込みをするような犬の場合は、かたまっている数羽のゲームが同時に立ってしまうことも止むを得ない。従って、ゲームの状態が群鳥捌きを許す状態であるならば、その待機を逸せざることは高く評価されて然るべしである。ただし、小寿鶏の場合には、却って飛込みに積極性のないような犬が、まま群鳥捌きらしき結果を斉すこともあるが、このような場合は必ずしも良き猟技とはいえず、犬の決断力のなさを示すこともあることに注意しなければならない。 |
ゲーム 狩猟鳥獣のこと。大型獣類、猪、鹿以上の大型のものを、ビッグゲーム(大物)というように、トライアルにおける対象鳥類のみならず、狩猟におけるあらゆる鳥獣に対して用いられる一般的な用語である。 |
コータリング 与えられたコースまたはフィールドの前方及び両側方をじぐざぐに捜索すること。アメリカのシューティング・ドッグ・ステークで要求されるパ ターンであり、我が国の猟野でも必須の猟技である。 |
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